トピックス -ビッグベンチャー

2014年02月04日

編集長インタビュー良品計画会長 松井忠三/仕組みと実行力で100年続く企業をつくる

企業家倶楽部2014年1/2月号 特集第3部


日本だけではなく世界にも幅広く店舗を展開している良品計画。西友時代に「私は主流にいなかった」と松井会長は語る。その反骨精神が脱セゾンと良品計画独自の社風を生み出し、無印良品を世界に通用するブランドに育てた。世界を魅了するチャレンジ精神溢れる良品計画の戦略はどのように生まれるのか。徹底した「仕組み化」で良品計画を赤字からV字回復へと導いた松井忠三会長の素顔に迫る。(聞き手は本誌編集長 徳永健一)



高品質で多様な商品を取り扱う

問 無印良品では食品、衣料、家具といった生活に関する多様な商品を扱っていますね。売れ筋は何ですか。

松井 現在、全部で7500アイテムございます。大まかな売上構成比としては、食品が10%、衣料品が35%、家庭用品が55%といったところです。売れ筋でいえば食品分野だと、テレビ番組のランキングで紹介されたカレーがあります。テレビで取り上げられたのがきっかけで、今年一年間で食品分野の売上げが伸びていて、既存店前年比で4割増加しました。

 
家庭用品で今一番売れているのは、良い香りのするミストで加湿とリラクゼーションが一度に得られるアロマディフューザー。あとは化粧水ですね。弊社のものは他店に比べて安いので好調です。他にはファブリックスという、カバーやシーツ、カーテンの類も順調です。

 
 無印良品の特徴である乳白色の収納用品も、似たような商品が市場にないものですから、日本だけではなく、欧州、米国、アジアと世界中で人気となりました。

問 無印良品の特徴は何でしょうか。

松井 無印良品は「わけあって、安い」をコンセプトにしておりますので、複雑な機能をつけません。例えば、壁掛け式のスピーカーもオンかオフしかないシンプルなものでした。しかしゴミが溜まるというご意見があったので、それを改善した結果、今では世界のベストセラーです。

 
 弊社の商品はお客様のニーズを大切にしております。私達は「暮らしの良品計画」というホームページでお客様のご要望を募るページをつくりました。結果として年間17万件ほどの情報がお客様室に届き、それを「声ナビ」というシステムを介して社内で共有し、商品のミーティングを行うことで、お客様の要望に応えています。また、お客様の声から新しい商品を開発するだけではなく、一度売り場から消えた商品を復活させることもあります。360度全部開くダブルリングノートはあまり売れずに何回か廃盤になっているのですが、一定のファンから強い要望が多かったので今は残っています。

 
 そうしたお客様のニーズをただ商品にするだけではなく、高い精度で維持できるのは日本の技術の賜物でしょう。先ほどの商品に加えて、収納、ステーショナリーも人気で、家庭用品や生活雑貨の中で売上げを牽引しています。衣料品の中で今一番売れているのは、繊維が肌に優しいタートルネックのセーター。タートルネックでも、首から下は普通のウールで、上はウールではなく綿で作られている。そのため首がチクチクせずに済むと好評なので、我々は「首チク」と呼んでいます。

問 直角靴下もユニークで話題となっていますね。製作のきっかけは何だったのでしょうか。

松井 良品計画が独自に持っている商品開発の仕組みがあります。「ファウンドムジ」といって、商品になるものを「発見(ファウンド)」するということから名づけられています。

 
 今回の直角靴下の場合は、チェコのおばあちゃんからヒントを得ています。防寒のためにブーツを履いていて、そのブーツの中で靴下がずれないように作ると、直角の靴下が出来る。その「アーガイル」という編み方ができる機械を導入して、さらに日本のスポーツメーカーと特殊な糸を開発し、ニーズに合わせて生地から厚さを調整しました。このような努力の結果として、直角靴下が生まれました。


高品質で多様な商品を取り扱う

意識改革の前に必要なのは「仕組み」

問 業績も株価も好調ですね。現状をどのように捉えていますか。

松井 良品計画には、今まで新しいものを作っていく商品開発のイメージがあったと思いますが、現在は仕組みをもって地道で堅固な実行力をもつ企業に変わりつつあります。どんな企業でもお客様第一主義ですが、実際その理念を達成できるかは全ての仕組みが整っているかの勝負でしょう。今私たちが行っているマーケティングは、お客様の変化を知ることを目的とした堅実的なものです。そして弊社ではそのマーケティングも仕組み化しているところが特徴です。

問 良品計画が西友から独立した当時のことについてお聞かせ下さい。

松井 西友から良品計画が独立するときに、もともといた社員は良品計画から抜けて、西友に戻るかどうか選ぶことができました。そこで、社員を対象に面接を行いました。一部上場企業と、ここから先どうなるかわからない企業。ほとんどの人間は西友に戻りましたが、89年6月に良品計画ができて、私が加わったのはその1年後です。その当時は社員が200人。その後92年に50人新卒採用をしましたから、5人に1人は新入社員だったという計算になります。

問 脱西友をしたことが良品計画にもたらしたものはありましたか。

松井 西友に戻った人は自分で切り拓くというよりも、組織に順応するタイプだったと思います。ですから、その人たちが戻っても西友の業績は良くなりませんでした。

 
 意識改革を先に行おうとしても会社は復活しません。なぜなら、会社を良くするための意識改革は、仕組みができて初めて実行できるものだからです。このことが、良品計画に移ったときの採用に学んだ大きな教訓になったと思います。そこで当初、「西友の常識は良品計画の非常識」というスローガンを掲げ、無印の立て直しのときには商品開発、オペレーション、人を育てる仕組みを作り上げました。そうすると意識改革も後からついてきます。

問 仕組み化を行って、きちんと実行しているのが特徴ですね。

松井 大事なのは、計画5%、実行95%です。多くの会社では指摘されたことがずっと放置されていますが、どんなにいい仕組みを作っても実行しなければ組織の力にはならないのです。私どもは指示が現場まで届いているかを報告するところまで仕組み化しているので、確実に社内で指摘された点を改善し毎日更新することができます。

問 良品計画では社員一人ひとりに社風が浸透していますね。

松井 マーケティングや商品開発の一つひとつから「良品計画らしさ」を判断できる社風が形成されます。そのマーケティングや商品開発を弊社では仕組み化していますので、多くの会社の方が見学にいらっしゃいますが、一朝一夕では真似できません。私もしまむらに勉強に行きましたが、しまむらの仕組みを見て「これは自社で作らなきゃだめだ」と思いました。



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